「希望や夢を咲かせることができる場所」へ

おばあちゃん

今回は、同じマンションの下の階に住むおばあちゃんのお話です。
そのおばあちゃんは、おそらく80歳は越えていると思いますが
細くて背が高く、スラッとしたべっぴんさんです。

会うたび笑顔であいさつを交わし、品があり穏やかで
物腰も柔らかく、私は勝手に「皇族ってこんなかんじかな?」と
想像しておりました。

噂では、お若い頃は教鞭を執っていたとか。
昭和初期の日本では、女学校に通えるのはお金持ちのお嬢様だけで
そのお嬢様が第一に希望する職業が「女性教師」だったそうですが
そのおばあちゃんを見ると、「なるほどな」と思います。

数年前から徐々に足が弱ってしまったおばあちゃん。
ここ最近は、マンションの裏口の30㎝ほどの段差を上がることができなくなりました。
正面にまわればスロープも手すりもあるのですが
近所のスーパーからの帰り道、少しでも近い方から入ろうと
毎回裏口で苦戦しています。

どういうわけか、私はそんな段差と対峙するおばあちゃんとよく会いました。
買い物袋を地面に置いて、ポールライトや植木にしがみついて
腕の力だけで上がろうとするのですが、危なくて見ていられません。

思わず駆け寄り、「お手伝いしましょうか?」と声をかけると
「どなたか存じませんが、ご親切にありがとうございます」と言われます。
二度目も三度目も、四度目も五度目も、同じように丁寧にお礼を言われます。

私も毎回、「どういたしまして。この先の段差にも気を付けてくださいね」と返します。
会うたび、初対面です。
おばあちゃんにとって、ここのマンションには親切な人がたくさんいると
そんなふうに思ってくれたらいいなと。
独り暮らしだったおばあちゃんが寂しくないように…。

 

 

 

今日、おばあちゃんの家に救急隊と警察の方が来たそうです。
救急隊は、おばあちゃんを乗せずに帰って、
夜には鑑識の方が来ていました。

おばあちゃん。
最近見かけないと思ったら…。

おばあちゃん。
裏口にも手すりを設置してもらおうと、自治会にお願いするつもりだったのに。

おばあちゃん。
私のことを知らないおばあちゃん。
何十回と手を引いても覚えてくれなかったおばあちゃん。

でも、私が覚えているから大丈夫。
おばあちゃんの笑顔
おばあちゃんの声
おばあちゃんの手の温もり

ここでお別れします。
おばあちゃんが寂しくないように、お花を添えて。


さよなら、おばあちゃん。
見送ってあげられなくてごめんね、おばあちゃん。

さてと。
めそめそしてはいられない。
明日はアビスパだ!

--
株式会社サカセル
〒814-0001
福岡市早良区百道浜1-3-70
ザ・レジデンシャルスイート福岡3301
TEL: 092-833-8445
FAX: 092-833-8446
https://sacasel.net